助産院を開業して22年が過ぎました。
お産まで元気にご自宅で過ごすことができるように、お産が安産に経過できるように、産後はママの体を早く回復し、元気に育児ができるようにケアを提供してきました。
しかし、妊娠中~産後ママの体の不具合を感じる人が多く、「恥骨が痛くて動けない」「腰が痛い」「赤ちゃんを抱っこしての授乳するのが辛い」「赤ちゃんが泣いてばかり。
どうしていいかわからない」などなど、年々重症化しているように感じています。
当院では、来院が困難な場合に、助産師が家庭訪問をして、ママと赤ちゃんに必要な、主として身体的なケアを提供する活動を、2019年9月に開設し活動しています。
現在、この活動は公費の対象になっておりませんので自費負担になります。
お産は病気ではありませんが、適切なケアと“養生”が必要です。
新生児期の赤ちゃんには“安静とからだケア(べびぃケア)”が必要であると思っています。
概ね生後1ヶ月までの乳児とママを対象にしています。

【訪問時に行なうケアの内容】

1. 妊娠期の腰痛・恥骨痛など、からだのマイナートラブルが強く、医師の許可が得られている場合、からだケア、セルフケア指導、日常生活上の工夫などについて提供します。
2. 産後の女性のからだケアの提供と、セルフケア指導、家庭環境に沿った姿勢や授乳・育児生活上の体の使い方の生活指導
3. 新生児の生理的な姿勢と発達、生活環境に添った抱っこや寝かせ方や体操法、また新生児の状況に適した扱い方についてご家族も含めて行なっています。
4.  育児サポート用品の環境に合わせた適切な使用法について。
5.  沐浴の実施(事前予約が必要です)

【訪問活動から見えてきたこと】

 今年はコロナの影響で、母親学級や両親学級、育児サークルなどの集団指導だけでなく、個人の相談事業も制限を受け、母子の孤立に拍車をかけることになったと感じております。
訪問で見えてきたママと赤ちゃんの現状、妊娠~産後・育児への不安や悩みがアンケートから見えてきます。

1. 初産の時は、産後1か月間は動けなかった。今回は訪問で母と子の、特に体のケアをして頂いたのは大変助かった。赤ちゃんは寝てくれるようになり、自分の体も楽になった。

2. 腰痛や恥骨痛などは妊娠しているから仕方がないと思っていた。
妊婦健診でも「異常なし」と言われていた。お産をしたら元気になれると思っていた。
しかし「お産がすんだらもっと大変だった。動くのが大変でこんなこと想像していなかった!」
「お産は終わったのになんとなく元気が出ない。授乳がうまくいかない。どうして?」
「私の寝る時間がない!どこで寝ればいいの!」
「育児って大変、抱っこしていなければ寝てくれない!赤ちゃんは、おっぱい以外は寝ているんじゃなかったの?」などの悲痛な訴えがあった。

【訪問後のママの声】

★新生児期~3か月の赤ちゃんへの正しい情報が、必要な人たちに知らされていないと思った。
また妊娠期~産後や育児の情報をネットで探せば探すほど、情報がありすぎて何が正しいのか、どれを信じていいのか不安がますます募ってきた。理解と納得ができる情報が欲しかった。

★我が子を前にして必要なことを具体的に教えてもらって、初めて理解でき納得することができた。世の中で言われていることと、あまりに違いすぎる。これでは育児は大変になるのは当たり前です。

【訪問した助産師の感想】

◎母の体の辛さから、それを実行することの困難さも訪問時の状況から伝わってきました。
◎母子の状態から、妊娠中の子宮内で丸い胎児姿勢が取れていなかったと想像できるケースが多いことです。
生まれてきた赤ちゃんは「体が辛い!飲めない!眠れない!」と泣き叫んでいると思われます。
◎訪問時、フィジカルケア(べびぃケアを含む)と、丸い姿勢が保てるように優しく包んであげることで、気持ちよさそうにネンネできた・直接母乳を飲むことができるようになったと連絡があった。
◎1回のみの訪問では不十分であり、妊娠中からのセルフケアを含めたフィジカルケアの重要性を感じた。

すべての女性が、妊娠~お産~産後・育児期間を楽しく気持ちよく過ごせるように、‟胎児期からの体つくり“の知識と、それに向けた実践が当たり前の時代になってほしいと切に願っています。
今までの活動を考察し、悩み苦しんでいるママと赤ちゃんに、そしてご家族に、技術を持って寄り添える助産師として研鑽、実践していかなければならないと強く感じています。

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